現代での挙式スタイルは【キリスト教式】と【仏前式】に加え、【人前式】というスタイルが定着しつつあります。各スタイルの一番大きな違いとしては、キリスト教式はキリスト様を前に、仏前式は仏様を前に、人前式は招待した列席者を前に誓いをたてるという点です。キリスト教式にも仏前式にも、式の流れ・空間・使用する品々に意味や由来があり、何1つ欠かすことの出来ないものが揃っていますが、現代の挙式で多く演出されている【人前式】には、式の流れや誓いの言葉、空間演出や使用する品々に決まったルールがなく、新郎新婦の自由に構成を組むことが出来るという特徴があります。どのスタイルの挙式にも、魅力があり意味の深い由来・演出が組み込まれていますが、元々のルーツをたどり、現代の挙式に取り入れる式のスタイルが増えています。
新婦が挙式時に真っ白なウェディングドレスや白無垢を着る意味として、「何色にも染まっていない」「あなたの色に染まっていきます」という意図を秘めているように、ブーケ・ベール・指輪などにも意味や由来があり、それらの意図を目でみて解る形として表現できる演出が多々あります。一般的に知られているものとして、バージンロードがありますが、バージンロードとは“新婦の人生”を意味し、扉があく瞬間は、新婦がこの世に生を授かった瞬間です。この時にバージンロードを共に歩く役割は新婦の父親が抜擢されることが多いですが、母親の役割として新婦のベールを下げる“ベールダウン”という演出があります。これは「あなたは守られていますよ」という“壁・隔たり”を秘めています。ベールを下げたままバージンロード(人生)を歩むということは、両親に・家族に、守られている存在ということを表現しており、式の中で行う“誓いのキス”直前にベールアップをする演出に繋がっているのです。このベールアップの演出で新郎との間に何も隔たりがないことを示す演出になります。挙式というものは、ただ誓いをたてるだけの儀式ではなく、新婦の人生や現在の世界・未来の世界を描き、1つのストーリーとして構成が組まれている“物語り”の表現でもあります。
最近では、新婦が持つブーケの由来から生まれた“ダーズンローズ”といわれる演出も増えてきました。本来ブーケとは、男性が意中の女性へ愛を伝えるために、野の花を集め花束にしてプレゼントしたことから出来たものです。女性が男性から愛のプロポーズを受け、YESの返答をする際、野の花の花束から1輪だけ抜き取り、男性の胸ポケットに挿したことから“ブートニア”というものが出来ました。この物語から生まれた“ダーズンローズ”の演出は列席しているゲストに1輪ずつ花を持ってもらい、新郎が挙式入場時に1輪ずつ集めて祭壇へ向かうというシーンに繋がった演出です。
挙式のルーツとなった1つ1つの物語りと、新郎新婦の“挙式への想い”が重なり、現代の挙式で演出として再現されるようになりましたが、それらとは別に由来や起源などに縛られない、自分のオリジナルスタイルとして、挙式開始前に挙式会場内で生い立ちムービーの上映をしたり、誓いの承認を拍手ではなく、新郎新婦が準備したクラッカー・鈴などのアイテムで承認をしてもらうなど、様々なオリジナル演出が生まれています。その背景には、新郎新婦の思い・物語りを最大限に表現できるようにと、結婚式場やホテルなどの施設側の対応も柔軟になりつつあります。挙式会場にプロジェクターやスクリーンを設置する会場や、チャペルの十字架を取り外しできるように設計された挙式会場、白いバージンロードに草原や水の映像を映し出し、二人だけのオリジナルバージンロードを作るカップル、赤外線とカメラで動きを捉え、新婦の動きに合わせて、白いドレスをスクリーンの代わりに使用し、一瞬でカクテルドレスのように魅せる機材や、会場内にプラネタリウム機材を持ち込み、天井に星空を映し出す演出など・・・。今までの挙式の常識に捉われない、五感で魅せる挙式スタイルが注目を受けています。これらの演出は全て、ゲストとの一体化、おもてなしの気持ち、施設側のホスピタリティマインドの高さなどから、“挙式”の時間に新たな価値を見出していることに繋がります。
“由来”を取り入れ、五感で魅せる現代の挙式スタイル
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